2012/04/19

Module 1&2 Process

Libarary からの帰り道。濃い霧に閉ざされた真冬のAshridge。
この暗い道を、夜中に何度歩いたことか。

Processは扱う科目が多く、Strategy、Marketing、Operation が含まれる。


Strategy
MBAプログラムに参加する上で、特に力を入れたいと思っていたのが戦略論。普段は沈黙しがちなグループワークでも発言できるチャンスが多く、この2学期では一番楽しめた科目だった。講師のMikeはスウェーデン人で、比較的英語が聞き取りやすいことも幸いした。

毎回、1〜2つのフレームワークを題材に、ケーススタディを交えながら議論していく形式。M.Porter から始まって、メジャーなフレームワークはひと通りカバーしたと思う。自分のお気に入りは Kim, W.Chan のブルー・オーシャンと、Brandenburger のバリュー・ネット。

ブルー・オーシャン戦略は何年か前に邦訳版が出て話題になったが、新しいビジネスを考えるときに「足す」だけでなく「引く」ことが重要と説いているところが面白い。商品開発の現場では新機能を追加することで付加価値を高めようという発想になりがちで、今まであったものをなくそうとすると「責任が持てない」とか言われて抵抗にあうことが多い。しかし、3Dテレビなどが典型だと思うが、ある一線を超えると「足す」ことで加えられる価値はごく小さなものになってしまう。これに対して、暗黙のうちに必要と思われてきた要素をあえて削除することでチャンスを生み出せるというのは、非常に共感できる概念だ。

バリュー・ネットはゲーム理論を下敷きにしたもの。考え方も非常に勉強になるが、ビジネスをゲームに例えるところがいかにも戦略論らしくてかっこいい(笑)。一度、実際の現場で「よし、ゲームのルールを変えよう」とか言ってみたいものだ。


Marketing
Ashridgeではあまり注目されていない分野なのか、Module 2までは本当の基礎の基礎だけしかカバーされない。講師はフランス人で、聞き取りに少し苦労したが、講義内容は可もなく不可もなくといったところ。Module 3以降に期待。


Operation
MBAの教科ではあまりメジャーではないと思うのだが、Ashridgeではやけに比重の高い科目。扱う範囲が広いので定義が難しいが、サプライチェーンやサービス運営、品質管理などがカバーされる。Just In Time、Kaizen などで知られるトヨタ式生産方式も登場し、メーカー出身の日本人にとっては馴染みやすいと言えるだろう。残念ながらクラスではあまり人気のない講義だったが、サプライチェーンを学ぶ Beer Game などは、皆で盛り上がって楽しかった。


MBAで取り上げられる戦略論などの文献には、成功事例として日本企業が登場することが珍しくない。リーン・オペレーションの手法を世界に広めたトヨタをはじめ、かつては世界のお手本となる優れた日本企業が多く存在したのだろう。今から10年後、ビジネススクールの教科書に載るような日本の企業がどれくらい残っているだろうか。