2012/01/29

ロンドンの語学学校

プレゼンテーションの題材でワインテイスティングを披露してくれたブラジル人のP氏。
個性的な人が多くて楽しいクラスだった。


1月の初めから3週間、ロンドン市内で語学学校へ通っていた。Kensington にホームステイしていたのは、このためである。

大学系のビジネススクールだと、EAP(English for Academic Purposes)と呼ばれる留学生向けの英語コースがあったりするのだが、学部を持たないAshridgeにそんなものはない。とはいえ英語力には全然自信がなかったので、個人的に学校を探すことにした。

ロンドンには数え切れないほどの英語学校があるが、とあるエージェンシーから勧められたのが London School of English という学校。Holland Park という静かな住宅街にあり、都心から遠すぎず、近すぎず、勉強するロケーションとしてはかなり良い場所と言えると思う。

授業内容に関しては、他の学校に行っていないので比べることはできないが、けっこう良かったんじゃないかと思う。ただそれよりも、各国から集まったクラスメイトとの出会いとの方が自分にとっては大きかった。

3週間のクラスで一緒になったのはロシア、スイス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポーランド、ポルトガル、ブラジル、韓国の面々。日本人で一緒になったのは一人だけで、そもそも日本人の数が少ない。学校側が意図的にバックグラウンドの合いそうな人を組み合わせてくれるようで、自分のクラスには弁護士、デザイナー、スタートアップから出版社のCEOまで、経験のある大人たちが揃っていた。

英語の授業とは言え、これだけ多様性のあるクラスだと文化・考え方の面でも気付かされることが多い。たまたまディスカッションの授業で出された「EUの存続」というテーマを巡って白熱する欧州圏のクラスメイトや、ユダヤ人の友達が人種差別で不当解雇されたというエピソードを告白してくれたロシア人…。こうした話題を自分自身のこととして語る人には、日本ではそう出会えない。


海外留学を希望した理由のひとつが、多様な人々の考え方を理解する能力、というか懐の深さを身に付けることだったので、そういう意味では幸先の良いスタートになったと思う。最後にはクラスメイトと連絡先を交換し合い、「Keep in touch で!」と声を掛け合って別れることができた。本当に再会できるかどうはわからないが、彼らと出会えたことは本当に幸運だった。


2012/01/23

イギリスの食べ物

イギリスの食べ物は本当にマズイのか? というのはよく聞かれる質問だが、現時点での印象では「美味しいものもあるが、ハズレる確率が非常に高い。特に安いもの。」というのが正直なところ。わずか3週間、それもほぼ Kensington 地区限定の話ではあるが、昼と夜を外食で過ごした感想を書いてみる。

安く手軽に食べるとなると、まず思いつくのはファーストフードか、TESCOなどのスーパーで売っているサンドイッチやサラダとなるが、これはすぐに挫折。ちょっと日本人の口には合わないものが多いし、さすがに毎日はきつい。

一方、同じ Take Away(持ち帰り)でも、もう少し高級なスーパーに行けば、値段に比例してけっこう美味しいものが期待できる。有名な Whole Foods Market は日本のデパ地下みたいな感覚で Cold/Hot Meal のブッフェが充実しているし、Waitrose のカレーも良かった。

そんな中、一番よく食べたのは、なんといっても中華だ。中国系の移民が経営している店では、日本でいうラーメンや餃子を出すような感覚で、本場仕込みの中華料理を食べさせてくれる。Kensington High Street にある Stick & Bowl という店には、2日に1回くらい通っていた。また、ロンドンの中心街に行けばチャイナタウンもあり、そこではさらに本格的な中華が楽しめる。


Stick & Bowl の Fried Rice(チャーハン)とワンタンスープ。
あわせて£6くらい。ものすごくチープな店だけどウマかった。

チャイナタウンにて。£8くらい。
この付近の通りは、夜に行くと相当怪しい雰囲気。
雨交じりの日に歩けばブレード・ランナー気分に浸れるかも…。


もちろん、イギリス料理だって探せば美味しいものはある。Kensington 近辺で、昼どきにいくつかのパブを巡ってみた。イギリスではあちこちにパブを見かけるが、ほとんどの店では食事をとることもできる。もっとも、昼間から常連がカウンターでビールを飲んでいたりして、店によっては入るのにちょっと勇気がいることもあるのだが、£7〜£9くらいで意外と美味しい料理を食べられた。

Fish Finger サンドイッチ。要するにフィッシュバーガー。普通に美味しい。

シチューと書いてあったが、ココナッツカレーみたいな味。
これをイギリス料理と言ってよいの不明だが、かなり美味しかった。

Churchill Arms という有名なパブには、なぜかタイ料理店が併設されている。パッタイ。


一方、日本食はどうかというと、たしかに SUSHI は世界共通言語で、街中でもよく見かけるが、おそらく世界のほとんどでそうであるように、SUSHI は日本の寿司とは別物っぽい。ただ、ロンドン在住の友人たちに連れて行ってもらったうどん屋は美味しかったので、探せばまともな日本食もあるのだと思う。South Kensington で見つけた tombo という店では、日本人のスタッフがきちんとした食事を出してくれて感心した。

Tombo の定食セット。久々にほっとした食事を楽しめた。お勧め。


イギリスに来て気づいたことはたくさんあるが、やはり日本の飲食店の多様さ、豊かさは、相当なものだと思う。どのガイドブックを読んでもイギリスは食事がイマイチと書かれているのは(まぁその通りのような気もするけど)、日本が相対的にレベルが高すぎるのも一因だろう。

今週からは自炊中心の生活になるので、数ヶ月してこのファーストインプレッションが変わるかどうか、また改めてレポートしてみようと思う。



1月28日追記:
寿司について。ロンドンでチェーン展開している wasabi という店があるのだが、ここのパック寿司は意外と美味しい。具材もそれほど変わったものは入っていないので、日本人にもおすすめできる。



2012/01/14

携帯電話を使う(T-Mobile)


実はイギリス入国後、一番最初にしたのが携帯電話を入手することだった。通話はともかくとして、ネットにアクセスできる環境は整えておきたい。調べたところ1年くらいの滞在ならプリペイドSIMを使うのが最も手軽そうだったので、それを実践してみた。


1. 端末を入手
イギリス渡航を見据えて、昨年のうちにSIMフリーの端末を入手しておいた。日本ではイー・モバイルから販売されている HTC aria 。12月までは日本通信の Talking-SIM で運用していたが、イギリスでもSIMを入れ替えるだけで使えるようになる…はず。



2. SIMカードを入手
ヒースロー空港の Baggage Claim を出た付近に、SIMカードの自動販売機がある。とりあえず一番無難そうな T-Mobile のカードを購入(£10)。ちなみに、これはSIMだけの値段で、このままだと通話はできない。オンラインで申しこめば無料でSIMを送ってもらえるようだが、この場合は当然ながら送付先としてイギリス国内の住所を指定する必要がある。

SIMカードの自動販売機。日本の携帯文化に慣れているとちょっとしたカルチャーショック。

電話番号はSIMに付いているTop-upカードに印字されている。


3. 料金をチャージ
イギリスではこの手のプリペイドカードへの料金チャージを「Top-up」と言う。T-Mobile SIM に Top-up する方法はWeb、SMS、自動応答ダイヤルなどいくつかあるのだが、街中の店舗でも可能だ。SIMカードに付属されているTop-upカードを店員に渡して、希望する入金額を伝えれば手続き完了。間もなくキャリアから確認のSMSが送られてくるという仕組み。

このマークのある店舗でTop-upできる。

4. コースを選ぶ
T-MobileのプリペイドSIMは「Pay as you go」と呼ばれ、料金プランは「Text」「Talk」「International」の3つ。

Textというのが何を意味するのかわからなかったのだが、これはSMS(ショートメッセージサービス)のこと。日本ではやや古びた感じのあるSMSだが、イギリスではけっこう使われているらしい。SIM購入直後、何もしないと、ここには書かれていない Monthy プラン?になっているようだったので、Talkプランに変更しておくことに。「150」にダイヤルして、自動応答の案内どおりに操作すれば変更完了。1ヶ月£10で、国内通話100分まで無料になる。


5. Internet Booster の適用
プリペイドプランでのインターネット利用は、そのままだと £1/day になっているが、任意でBoosterオプションというのを追加できる。Internet Booster は £5で30日間有効。速度制限もなく、日本の携帯料金に比べると驚くほど安い。これは「441」にSMSを送信することで追加できるのだが、ひとつ落とし穴が。

T-Mobileのモバイル向けサイトには「MONTH WEB」というテキストを送れと書いてあるのだが、これは間違い。途中スペース無しの「MONTHWEB」にしないと認識されない。日本だったら、考えられないようなミス表記だけどね…。


6. モバイルアクセスポイントの設定
手順5を済ませた時点でインターネットにつながると思っていたのだが、なぜか何度やってもうまくいかない。よくよく考えたら、端末側でMobile Networkのアクセスポイント情報を設定していなかった。具体的な情報はT-Mobileのサポートページで見つけることができるのだが、上記の手順2〜5では全く案内されないので、しばらく気づかなかった(2つ目の落とし穴)。これはハマる人が多いと思うけど、自分だけ…?


ここまできて、ようやく全てのセットアップが完了。ロンドン市内にいる限り、電波状況や速度で不満を感じることはない。もっとも、日本では日本通信の300kbpsを使っていたので、それに比べて快適ってのもあるが。いずれにしても、Google Mapがあれば地図持ってウロウロする必要もないし、やっぱSIMフリー端末が1台あるとすごく便利だ。


Fair use policy について
通信料金の安さに気を良くしてテザリングしまくっていたら、一通のSMSが。

「あなたは Fair use policy の上限80%に達しています」

どうやら500MBを上限として、データ利用に制限があるとのこと。さすがに使い放題ではないのかーと、一瞬がっかりしたのだが、T-Mobileのサイトを良く読むと、500MBに達するとファイルのダウンロードなどが制限されるものの、ブラウジングは引き続きできるらしい。実際しばらくして、500MBに達したとの警告が表示されたが、それ以降もファイルを落としたりしなければ、普通にネットを使える。ホームステイ先のWLANの調子が良くなかったので、意外とゆるいポリシーで助かった。


2012/01/13

Imperial College London

Imperial College へ続く道。この写真から見えるのは裏門の方。付近には大使館が多い。 


1月の間だけ、ロンドン西部にある Kensington という街に滞在し、語学学校に通っている。高級住宅街として知られるエリアだが、ホームステイ先から徒歩10分くらいのところに Imperial College がある。語学学校の授業は午前中だけなので、午後はここの図書館で過ごすのが最近の日課だ。

100年以上の歴史を持ち、イギリスでもトップ校に分類される名門大学。理系に強く、Queen のブライアン・メイの出身校としても(ものすごく一部の人に…)知られている。ビジネススクールもあるが、設立されてから間がないこともあり、大学の知名度に比べるとあまり有名ではないようだ。

Main Library は金曜の夜を除いて24時間オープン。WLAN完備で、カフェテリアも併設されている。もちろん学生向けの施設だが、申請をすればゲストでも利用可能になる。自分の場合は、Ashridge の入学証明書(CAS)を見せ、利用期間と目的を伝えることで Admission Card を発行してもらえた。

Library のセキュリティゲートを通過するのに必要なカード。
指定の用紙に利用目的を記入して申請し、許可が下りればメールで連絡が来る。

フロアは Silent、Quiet、Group など利用方法に応じて分かれている。
もっとも、Silent Study でもたまにうるさい人がいたが。

自習スペースはデスクも広く、非常に快適。そしていつ行っても、たくさんの学生が熱心に勉強している。留学生比率も高いようで、英語以外の言葉を耳にすることもよくある。特にアジア人の学生をたくさん見かけるのだが、どうも多くは中国系のようだ。たまに韓国語っぽい会話も聞こえる。残念ながら、日本語を聞いたことは一度もない。

実は数年前、Imperial で化学のPhDをとった部下が入社してきたことがあったのだが、そのときはまさか自分が同校に関わることになるとは思いもしなかった。今こうして若い学生たちに混じって机に向かっていると、ここ数年のうちに身の回りに起きた変化の大きさを改めて実感する。

また同時に、自分の子供が彼らくらいの年齢になったときに、親として何を語ってあげることができるのか…なんてことにも思いを馳せたりする。自分も歳とったなぁ(笑。


2012/01/05

イギリス入国

2011年の大晦日、イギリスに入国した。自分が海外に留学するなど(しかもこの年齢で…)、数年前までは想像もしなかったことで、実際に来てみた今もまだどこか現実離れした感覚がある。

今日はイギリス留学にあたって必要な事務手続きについて、いくつか書いてみたい。


■ CAS
イギリスの教育機関に受け入れが認められると、CAS(Confirmation of Acceptance of Studies)と呼ばれるレターが学校から送られてくる。この書類は学生ビザの取得に必要で、正規の留学生であることの証明となる。不法入国を防ぐ目的もあるのだろうが、まずはこれを入手することがイギリス入国への第一歩となる。ちなみに空港の入国審査でもCASの提出を求められた。


■ ビザ
イギリスでは6ヶ月以上の滞在にはビザが必要だ。学生ビザにはいくつか種類があるが、ビジネススクールに行くなら Tier 4 General Students Visa を取ることになる。近年、ビザの取得ルールが頻繁に改正され、個人で申請するのは難しいと beo* の説明会で脅されたので(笑)、同社のビザ申請サポートを利用することにした。

Webおよび書面でいくつかの資料を揃えたあと、新橋にある UK Border Agency に出向く。通常、発行まで3週間くらいと言われていたのだが、11月という時期のせいか、あるいは留学先が HTS: Highly Trusted Sponsorship* だったせいか、1週間であっさり発行された。

* beo は極めてまともな会社です、念のため。また別の機会に紹介したいと思います。
* HTSでない場合は、銀行口座の残高状況やIELTS等の英語試験の証明が必要になって、より手続きが面倒になる。


■ 航空券
1年オープンのチケットを購入。このブログを書いている時点で成田〜ロンドン往復は最安値で3万円台からあるが、1年オープンになると8万円台。とはいえ、片道で格安チケットというのは無いらしく、結局普通に1年オープンを買うのが最安という結論だった。*

* 格安の往復航空券を買って、復路分を破棄して片道だけ使うという方法もあるが、どうもグレーなのでやめておいた。


■ 保険
イギリスにはNHSという国民皆保険制度があり、6ヶ月以上滞在する場合は無料で診察を受けることができる。しかし、これが何日も待たされたりするなど、あまり評判がよくない。今回は初めての海外生活ということもあり、念のためAIUの留学生向け保険に加入することにした。

日本ではちょっと風邪をひいた程度でも気軽に診察を受けることができるし、歯医者なんて競争過多で患者の呼び込みをやっているところもあるくらいだが、おそらくそんな環境は世界にはそう多くない。やはり日本の国民皆保険制度は相当恵まれているのだろう。



イギリス渡航にあたって、なぜ大晦日なの?という質問を聞かれることがよくあった。これには理由が2つある。まず、Tier 4 ビザでは入国できるのは学校開始日の30日前と決められている。Ashridge MBA は1月30日が最初の授業なので、12月30日以降でないと入国できない。

もうひとつは住民税。日本では1月1日に居住している市町村でその年の住民税が課税される。逆に言うと、1月1日に海外転出していればその年の住民税は納める必要がない。これはけっこう大きい。

年越しを家族と過ごせないのは残念だったが、たまにはこんな年末年始もありだろう…と自分を納得させて大晦日の渡航を決めた。

宿の裏庭から、ロンドンのカウントダウン花火が少しだけ見えた。